諸手取呼吸法や片手取呼吸法でも相手がしっかり掴んだ手を動かしてつかうのは容易ではない。大体は力んで腕力で何とかしようとする。誰もが経験し身に覚えがあるはずである。
後でわかってくるのだが、本当の稽古はここからが始まりなのである。出来ない事を知り、どうすればいいのかを考えるスタート点なのである。後はここからスタートするのか、スタートを諦めるかである。諦めればそれでお終いだし、スタートしても多くの障害物が立ちはだかっているから容易ではない。これまでそれらの障害物とそれを乗り越える方法を書いてきたわけだから、それを読めばわかるだろう。
多くの障害物を乗り越えてきたお陰で呼吸法は大分上達した。自分が出来るだけでなく、相対稽古での相手がどうして上手くいかないのか、どうすれば上手くいくようになるのかが見えてくるようになった。例えば、昨日の片手取り呼吸法を一緒にやった稽古相手から見えたことがあるので書く。
相手は外国人で力は強く、手も体はしっかりしていた。力が強い人は手を振り回して倒そうとするので、大した力は出ないし、こちらの腰腹で掴んでいる力には敵わない。これは一般的な初心者のやり方であるので、これまで書いてきたことである。
もう一つの発見があった、それは技をつかうにあたって体を横だけでつかっているということである。横とは地や床と水平に動いているという事である。これだと十分な力が掴ませた手に出ないので、動かない。更なる力を出すためには体を縦につかえばいいと教えた。体を縦、つまり地に垂直につかうのである。
何故、体を縦に落とせばいいかというと、体は縦に落ちると、次は、体は横に動き、また縦→横、縦→横と|→ ― = 十になるからである。十字は完成された形である。合気道は十字道とも云われる所以である。それを大先生は次のような歌に詠んでおられる。